COLUMN

実家を売って分ける前に──換価分割の準備チェックリスト

公開 執筆 不動産鑑定士 吉田健人
実家を売って分ける前に──換価分割の準備チェックリスト

誰も住む予定のない実家は売却して代金を分ける——換価分割(不動産を売却し、その代金を相続人で分ける方法)は分かりやすい選択肢ですが、「売りに出す前」の準備の質で、手取りも話し合いの円滑さも大きく変わります。当事務所が想定する準備項目を、チェックリスト形式で整理します。

チェック1──遺産分割協議書に「換価分割」と明記する

売却の前提として、換価分割で分ける旨と分配割合を遺産分割協議書に明確に記載しておくことが重要とされています。特に、手続の便宜上、相続人の一人の単独名義にしてから売却する場合、この記載がないと代金を分けたときの課税関係に疑義が生じ得ます。協議書の作成は弁護士・司法書士に、課税上の整理は税理士にご相談ください。

チェック2──相続登記を済ませる

亡くなった方の名義のままでは売却できません。相続登記(不動産の名義を相続人に変更する登記)を済ませておきましょう。2024年4月からは登記自体が義務化されています(詳しくは相続登記の義務化)。手続は司法書士へ。

チェック3──遺品整理と残置物の処分

家財が残ったままでは内覧の印象が悪く、契約条件でも「残置物撤去」が論点になります。誰の費用でいつまでに片付けるかを、相続人間で先に決めておきます。仏壇や思い出の品の扱いは感情的な火種になりやすいため、後回しにしないことをおすすめします。

チェック4──境界と越境の確認

隣地との境界が不明確な土地は、買主から境界確定を求められ、売却が数か月延びることがあります。境界標の有無、過去の測量図の有無を確認し、必要なら土地家屋調査士に測量を依頼します。ブロック塀や樹木の越境も、この段階で把握しておくと交渉がスムーズです。

チェック5──税務の見通しを立てる

売却益が出れば譲渡所得税の負担があります。被相続人の取得時の資料(購入時の契約書)の有無や、空き家に関する特例の適用可否で税額は大きく変わり、手取りの計算が変わります。売り出し価格を決める前に、税務上の取扱いは税理士にご確認ください。

チェック6──「いくらなら売るか」の目線を共有する

準備の仕上げは価格の目線合わせです。買付が入ってから「安すぎる」「早く売りたい」で割れるのは、換価分割で典型的なつまずきです。売り出し前に第三者の評価で適正な市場価値を確認し、応じる下限を相続人間で共有しておくことが、売却活動の防波堤になります。売却局面の注意点は換価分割の進め方でも解説しています。

まとめ

  • 協議書の記載・相続登記・遺品整理・境界・税務の5つは、売り出し前に各専門家と片付けておく
  • 仕上げは「いくらなら売るか」の共有。中立の評価が目線合わせの物差しになる
  • 準備の質が、手取りと相続人間の円滑さの両方を左右する

売り出し前の価格の目線づくりは、当事務所にご相談いただけます。お問い合わせからお気軽にどうぞ。

この記事を書いた人

吉田 健人代表取締役・不動産鑑定士

株式会社KRE Appraisal代表。相続・離婚・借地・賃料など、価格が争点になる場面の鑑定評価を扱う。不動産鑑定士(登録 第11191号)。

プロフィール →
お問い合わせLINE電話する
↑