COLUMN
離婚協議書に不動産をどう書くか──価格をめぐる3つの注意点

協議離婚では、合意内容を離婚協議書(さらに公正証書)に残すのが一般的です。協議書の作成・リーガルチェックは弁護士の職域ですので、必ず専門家に依頼することをおすすめします。本稿では、価格の専門家の立場から、不動産まわりで後日の紛争につながりやすい3点をお伝えします。
① 物件の特定は登記情報で
「自宅マンションは妻が取得する」といった書き方では、物件の特定として不十分な場合があります。登記事項証明書に基づき、所在・地番・家屋番号・敷地権の割合まで正確に記載するのが基本です。
住居表示(○丁目○番○号)と地番は別物です。実際、当事務所が扱う案件でも両者が異なる物件は珍しくありません。登記事項証明書を取得し、その記載をそのまま使ってください。
② 「評価額」を書くなら、根拠とセットで
協議書に評価額を書くかどうかは設計次第ですが、書く場合は「いつ時点の・何に基づく金額か」を明確にしておくと、後日の蒸し返しに強くなります。
ありがちなのは、「時価3,000万円とする」とだけ書かれ、後になって「あの金額は安すぎた(高すぎた)」と争いになるケースです。根拠資料(査定書・鑑定評価書等)を特定して協議書に紐づけておけば、「双方が同じ資料を前提に合意した」ことが記録に残ります。合意の土台となる評価自体に不安がある場合は、合意前に第三者の評価を取っておくのが確実です。
③ 清算条項と「あとから見つかった財産」
協議書の最後には通常、「本協議書に定めるほか、互いに何らの請求をしない」という清算条項が入ります。この条項の効力や例外は法律問題ですので弁護士にご確認いただきたいのですが、価格の観点から言えるのは、清算条項を入れる前に、不動産の評価に納得しておくべきだということです。
清算条項後に「実は家の価値はもっと高かった」と気づいても、蒸し返しは容易ではありません。サインの前が、評価を確認できる実質的に最後の機会です。
まとめ
- 物件の特定は登記事項証明書の記載で。住居表示と地番は別物
- 評価額を書くなら根拠資料とセットで
- 清算条項の前が、評価に納得する最後の機会
協議書に署名する前の「この評価額で本当によいのか」という確認のご相談を承っています。書面の作成・チェックそのものは、弁護士にご依頼ください。



