COLUMN

財産分与の話し合いを拒否されたら──不動産があるときの進め方

公開 執筆 不動産鑑定士 吉田健人
財産分与の話し合いを拒否されたら──不動産があるときの進め方

「財産分与の話をしようとしても応じてくれない」「家の資料を見せてくれない」。協議が最初の一歩から止まってしまうケースは珍しくありません。しかし、相手の拒否は財産分与を諦める理由にはなりません。

拒否されたら調停へ

協議に応じない相手とは、家庭裁判所の調停で話すことができます。調停は相手の同意がなくても申し立てられ、裁判所から呼出しが届きます。それでも解決しなければ審判・訴訟という手段が続きます。手続の選択と進め方は弁護士にご相談ください。

一点だけ、期限の注意です。財産分与の請求には期間制限があります(従来は離婚から2年。法改正により5年に延長されました。ご自身のケースにどちらが適用されるかは、離婚の時期により異なるため弁護士に確認してください)。「揉めるのが嫌で放置」しているうちに期限が来ることが、最も避けるべき事態です。

相手の協力なしで集められる不動産資料

「相手が資料を渡さないから、家の価値がわからない」と諦める必要はありません。不動産の基本資料の多くは、相手の協力なしで取得できます。

  • 登記事項証明書:法務局・オンラインで誰でも取得できます。名義・持分・抵当権(ローンの当初借入額の手がかり)がわかります
  • 固定資産税評価証明書・課税明細:本人・配偶者等は市区町村で取得できる場合があります(要件は自治体にご確認ください)
  • 周辺の取引データ:不動産情報ライブラリ等の公的データは誰でも閲覧できます

ローンの現在残高など名義人しか取れない資料は、調停・訴訟の手続の中で開示を求める方法があります(弁護士にご相談ください)。

資料が揃わなくても評価はできる

「室内に入れない」「間取図がない」状態でも、登記情報・外観調査・市場データに基づく評価は可能です。当事務所では、室内立入なし・資料限定の条件を明記したうえでの鑑定評価に対応しています。相手の非協力を理由に、価格の主張を白紙のまま調停に臨む必要はありません。

まとめ

  • 協議拒否には調停という次の手段がある。請求期限にだけは注意
  • 登記・課税資料・市場データは相手の協力なしで集められる
  • 資料が限定的でも、条件を明記した評価は可能

「相手が応じてくれない」段階でも、できる準備から始めましょう。資料の集め方のご案内から対応します。

この記事を書いた人

吉田 健人代表取締役・不動産鑑定士

株式会社KRE Appraisal代表。相続・離婚・借地・賃料など、価格が争点になる場面の鑑定評価を扱う。不動産鑑定士(登録 第11191号)。

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