COLUMN

離婚とローン借り換え──「家をもらう側」が先に銀行へ行くべき理由

公開 執筆 不動産鑑定士 吉田健人
離婚とローン借り換え──「家をもらう側」が先に銀行へ行くべき理由

「家は妻が取得し、ローンも妻名義に切り替える」。協議でそう合意しても、金融機関の審査が通らなければ実行できません。財産分与の合意と、ローンの借り換えは別の関門です。順番を間違えると、合意そのものが絵に描いた餅になります。

借り換えが必要になる典型パターン

  • 夫名義のローンが残る家を、妻が取得して住み続ける(夫のローンを妻名義のローンに借り換え)
  • ペアローンを、住み続ける側の単独ローンに1本化する
  • 連帯保証を外すために、保証人不要の条件で組み直す

いずれも、住み続ける側が単独の収入と信用で新しいローンの審査を受けることになります。

審査で見られるもの

金融機関の審査は大きく「人」と「物」の2面です。

人の審査:年収、勤続年数、雇用形態、他の借入、年齢。離婚後の収入(養育費を収入と見るかは金融機関により扱いが分かれます)で返済負担率が計算されます。

物の審査:担保となる物件の評価です。金融機関は独自に担保評価を行い、貸せる金額の上限を判断します。ここで物件の時価が十分にあれば、借り換えの選択肢は広がります。

つまり、「自分の収入でいくら借りられるか」と「この家にいくらの担保価値があるか」の両方が揃って、初めて借り換えの実現性が見えます。

協議がまとまる前に銀行に相談する

おすすめしたい順序は、財産分与の合意を固める前に、借り換えの仮審査レベルの感触を掴んでおくことです。

代償金の支払いとローンの借り換えを前提に協議をまとめた後で、審査に通らないと判明すると、協議は振り出しに戻ります。調停で成立させた後なら、なおさら修正は困難です。先に「借りられる金額の目安」を知っておけば、実現可能な分与案だけをテーブルに載せられます。

その際、物件の時価を示す資料(鑑定評価書等)があると、金融機関との話も具体的に進みます。担保評価は金融機関が独自に行いますが、根拠ある時価資料は交渉の土台になります。

まとめ

  • 財産分与の合意とローン審査は別の関門。合意前に審査の感触を
  • 審査は「人」と「物」の両面。物件の時価が選択肢を左右する
  • 実現可能性を先に確認してから、分与案を固める

借り換えを見据えた時価評価のご相談を承っています。金融機関への提出を想定した成果物の形式についても、お気軽にお尋ねください。

この記事を書いた人

吉田 健人代表取締役・不動産鑑定士

株式会社KRE Appraisal代表。相続・離婚・借地・賃料など、価格が争点になる場面の鑑定評価を扱う。不動産鑑定士(登録 第11191号)。

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