COLUMN
相続人と連絡が取れない・協議に応じてもらえないとき──評価資料を先に整えておく意味

遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければ成立しません。一人でも連絡が取れない、あるいは応じてくれない相続人がいると、実家の名義変更も売却もできないまま時間だけが過ぎていきます。このようなとき、制度上どんな道があるのか。一般的な選択肢を整理したうえで、「その間に何を準備しておくべきか」をお伝えします。
連絡先が分からない場合──調査と管理人の制度
長年疎遠な相続人の連絡先が分からない場合、戸籍の附票(戸籍に紐づけて住所の移り変わりを記録した書類)などをたどって現住所を調査するのが第一歩です。弁護士や司法書士は職務上この調査を行えます。
調査しても所在が知れない場合には、不在者財産管理人(行方の分からない人の財産を管理するために家庭裁判所が選任する人)を選任してもらい、その管理人が本人に代わって遺産分割協議に加わる方法が制度として用意されています。生死が長期間不明な場合の失踪宣告という制度もあります。いずれも家庭裁判所の手続で、要件や見通しの判断が必要ですので、具体的な進め方は弁護士にご相談ください。
連絡はつくが、応じてくれない場合──調停へ
「連絡はつくが、話し合いに応じない・返事がない」という場合、協議での解決に固執し続けるより、家庭裁判所の遺産分割調停に進むのが現実的な選択肢になります。調停は「訴える」というより、裁判所を場とした話し合いの手続です。流れは調停での不動産の扱いや調停・審判の場面で解説しています。
待っている間に、評価資料を整えておく意義
どの道を選ぶにしても、所在調査や管理人選任、調停の呼出しには相応の時間がかかります。この期間を「何もできない待ち時間」にしないことが重要です。
特に不動産の評価資料は、先に整えておく価値があります。理由は3つです。第一に、協議が動き出した瞬間に具体的な分割案を示せるため、せっかくつながった相手との話し合いを最短で進められます。第二に、調停に進んだ場合も、不動産の時価資料は分割案の基礎としてそのまま活用できます。第三に、時間の経過とともに市場は動くため、「いつの時点の価格か」を明確にした資料を持っておくこと自体に意味があります。遺産分割の評価基準時は、実務上「遺産分割時」とされるのが一般的だからです。
まとめ
- 遺産分割協議は相続人全員の合意が原則。所在不明なら調査や不在者財産管理人という制度がある
- 応じてもらえない場合は遺産分割調停が現実的な選択肢。いずれも具体的な進め方は弁護士へ
- 手続を待つ期間に不動産の評価資料を整えておくと、協議・調停のどちらに進んでも初動が速い
協議が止まっている段階での評価のご相談も承ります。お問い合わせからお気軽にどうぞ。





