COLUMN
タワーマンションの相続税はいくら?3つのモデルケースで税額の目安を試算

「親のタワーマンションを相続することになったら、相続税はいくらかかるのだろうか」。物件価格が1億円を超えることも珍しくないタワーマンションでは、税額のイメージがつかめないまま不安だけが膨らんでいる方が多いのではないでしょうか。
高級マンション・タワーマンションの鑑定評価を専門とする当事務所には、「タワーマンションの相続税はいくらになるのか、まず大づかみに知りたい」というご相談が数多く寄せられます。本記事では、私たち鑑定士の視点から、相続税評価額から税額までの流れを3つのモデルケースで試算し、考え方の道筋を整理します。
本記事の試算はあくまで簡略化した目安です
以下の金額は、計算の流れを理解していただくために前提を大胆に単純化した概算です。実際の税額は、他の遺産や債務、各種特例の適用によって大きく変わります。具体的な申告・納税額の計算は、必ず税理士にご確認ください。
タワーマンションの相続税はいくら?計算の3ステップ
ステップ1:相続税評価額を求める
マンションの相続税評価額は、土地部分(路線価=国税庁が毎年公表する道路ごとの土地単価に敷地権割合を乗じたもの)と建物部分(固定資産税評価額)の合計が出発点です。2024年1月1日以後の相続からは、これに区分所有補正率(築年数・総階数・所在階・敷地持分狭小度の4要素から算定される補正率)を乗じ、評価水準が市場価格の約6割に満たない物件は6割まで引き上げられます。
ステップ2:基礎控除を差し引く
遺産総額から基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引きます。相続人が子2人なら4,200万円です。遺産がこの範囲に収まれば、相続税は原則かかりません。
ステップ3:累進税率を適用する
基礎控除後の課税遺産総額を法定相続分で按分し、10%から55%の累進税率を適用して税額を算出します。
3つのモデルケースで見る税額の目安
前提を「遺産は当該マンションのみ・相続人は子2人・小規模宅地等の特例や債務控除は考慮しない・評価額は市場価格の約6割」と単純化した場合の試算です。
| モデルケース | 市場価格 | 評価額の目安 | 基礎控除後 | 税額の目安(2人合計) |
|---|---|---|---|---|
| 湾岸エリア・中層階 | 1億2,000万円 | 約7,200万円 | 約3,000万円 | 約350万円 |
| 港区・高層階 | 2億5,000万円 | 約1億5,000万円 | 約1億800万円 | 約1,840万円 |
| 築古タワー | 8,000万円 | 約5,500万円 | 約1,300万円 | 約130万円 |
なお築古タワーは、もともと市場価格と従来評価の乖離が小さく、補正がかからない(評価水準が6割以上の)ケースもあるため、ここでは市場価格の約7割で評価されると仮定しています。
試算から見えてくること
第一に、累進税率の影響で、市場価格が約2倍の物件でも税額は5倍以上に膨らみ得ます。高額物件ほど、評価額の妥当性を検討する意味が大きくなります。第二に、同じ「タワーマンション」でも、築年数や階数によって評価のされ方は大きく異なります。
目安と実際の税額が変わる主な要因
実際の相続では、次の要因で税額が大きく動きます。
- 現預金・有価証券など他の遺産との合算(税率区分が上がる方向に働きます)
- 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の適用(大幅に下がる可能性があります)
- 市場価格と通達評価の乖離。管理状態の悪化などで時価が評価額を下回る物件では、鑑定評価書による時価の立証を検討する余地があります
とくに3点目は私たち鑑定士の領域です。補正率は画一的な算式のため、修繕積立金の不足や管理組合の運営課題といった個別物件の事情までは反映されません。「評価額が実勢より高いのではないか」と感じたら、鑑定評価書(不動産鑑定評価基準に基づき不動産鑑定士が作成する評価書)による時価の把握が出発点になります。
納税資金とスケジュールも忘れずに
相続税の申告・納税期限は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月です。タワーマンションは遺産に占める割合が大きくなりやすく、納税資金を売却で捻出するのか、手元資金で賄うのかによって、評価や売却の検討スケジュールが変わります。鑑定評価書の作成には通常2〜4週間程度を要しますので、税額の目安をつかんだら早めに専門家への相談を始めることをおすすめします。
まとめ
- タワーマンションの相続税は「評価額→基礎控除→累進税率」の3ステップで概算できる
- モデルケースでは、市場価格1.2億円で約350万円、2.5億円で約1,840万円が目安(前提を単純化した試算)
- 実際の税額は他の遺産・特例で大きく変わるため、正確な計算は税理士にご確認ください
- 評価額と実勢価格の乖離が疑われる物件では、鑑定評価による時価把握が有効
タワーマンションを相続された相続人の方は、ぜひ一度ご相談ください。初回の無料相談で、鑑定評価の必要性と概算費用をご案内します。





