COLUMN

離婚の財産分与で家をどう評価する?公平な時価の出し方

公開 執筆 不動産鑑定士 吉田健人
リビングの机に置かれた二つの家の鍵と荷造り中の段ボール箱

離婚に伴う財産分与で、最も揉めやすいのが不動産です。預貯金は残高で分ければ済みますが、家は「いくらの価値があるか」を先に決めなければ、公平に分けようがありません。ところが、この 評価額の決め方 でつまずくご夫婦が少なくありません。本稿では、財産分与で家をどう評価するのか、公平な時価の出し方を解説します。

財産分与での不動産の扱い

まず「時価」を確定する

財産分与は、婚姻期間中に夫婦が築いた財産を分ける手続きです。不動産が対象に含まれる場合、その家の現在の時価 を確定することが出発点になります。時価が決まって初めて、住宅ローン残債を差し引いた正味の価値(純資産)が分かり、分与額の計算に進めます。

名義と実質の分離

家の名義が一方だけになっていても、婚姻中に協力して取得した財産であれば、原則として財産分与の対象です。「名義人のものだから関係ない」という思い込みは、後の合意を難しくします。

一方の査定書だと揉める理由

立場によって金額が動く

不動産会社の 査定額(売却の目安として示す予想価格) は、無料で手軽に得られる反面、依頼する側の思惑が入り込みやすいものです。家を残したい側は低い査定を、多く受け取りたい側は高い査定を持ち出しがちで、「その金額は相手に有利に作られたのでは」という不信が生まれます。

物差しがそろわない

夫と妻がそれぞれ別の会社に査定を依頼すれば、当然、異なる金額が出てきます。物差しがそろわないまま話し合っても、金額の攻防に終始して前に進みません。査定と鑑定評価の違いは査定と鑑定評価の違いで詳しく整理しています。

オーバーローンの扱い

残債が時価を上回るとき

住宅ローンの残債が家の時価を上回る状態を オーバーローン といいます。この場合、家に正味のプラス価値はなく、財産分与では原則として分ける財産として計上されません。ただし、他の財産と合わせてどう清算するか、ローンを誰がどう負担し続けるかは、個別の事情で大きく変わります。

感情ではなく数値で

「住み続けたい」「早く手放したい」という感情論の前に、時価と残債という 数値の事実 を共有することが、合意への近道です。その事実を中立に示すのが鑑定評価の役割です。

中立の鑑定評価書という選択肢

第三者を説得できる根拠資料

不動産鑑定士が作成する 鑑定評価書 は、国の統一基準に従って適正な時価を判定した文書です。どちらか一方のために作られたものではないため、相手方も、そして調停委員や裁判官も納得させる説得力を持ちます。

協議・調停・裁判のいずれでも

鑑定評価書は、話し合い(協議)の段階でも、家庭裁判所の調停・裁判の段階でも、共通の物差しとして使えます。早い段階で公平な時価を押さえておくことが、無用な対立を避け、解決を早めます。

まとめ:公平な物差しから始める

財産分与で家を分けるなら、まず 公平な時価 を確定することが第一歩です。一方が用意した査定書ではなく、中立の鑑定士による評価から始めることで、話し合いは格段に進めやすくなります。

離婚に伴う不動産評価は離婚・財産分与のための鑑定で詳しくご案内しています。なお、財産分与の法的な組み立てや税務は、最終的には弁護士(または税理士)にご確認ください。当事務所は、その判断の土台となる適正な時価評価を担います。まずはお問い合わせからお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

この記事を書いた人

吉田 健人代表取締役・不動産鑑定士

株式会社KRE Appraisal代表。相続・離婚・借地・賃料など、価格が争点になる場面の鑑定評価を扱う。不動産鑑定士(登録 第11191号)。

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