COLUMN
固定資産税の評価替え2027で税額は上がる?3年に一度の見直しで所有者が確認すべきポイントを不動産鑑定士が解説

はじめに
2027年度(令和9年度)は、固定資産税の評価替えの年です。地価の上昇が続くなか、「来年の納税通知書で税額が大きく跳ね上がるのではないか」と心配されている土地・建物の所有者は少なくないでしょう。
先に結論をお伝えします。評価額が上がっても、税額がそのまま比例して上がるわけではありません。 土地には負担調整措置(評価額の上昇を課税標準額に段階的に反映させる仕組み)があり、建物は多くの場合、評価額が前年度より上がらない扱いになっています。一方で、3年に一度の評価替えの年は、評価額に不服を申し出られる事実上唯一のタイミングでもあります。準備の有無で、今後3年間の負担が変わり得るのです。
この記事では、評価替えの仕組みとスケジュールを整理したうえで、税額への影響を試算し、所有者が今から確認しておくべきポイントを私たち鑑定士の視点から解説します。個別の税額や手続きは、市区町村の資産税担当課または税理士にご確認ください。
第1章:固定資産税の評価替えとは何か
1-1. 3年に一度、評価額を見直す仕組み
固定資産税の課税標準となる土地・家屋の価格(固定資産税評価額)は、3年ごとの「基準年度」に評価し直し、その後の2年間(据置年度)は原則としてその価格を据え置きます(地方税法第349条)。直近の基準年度は令和6年度(2024年度)で、次回が令和9年度(2027年度)です。
本来は毎年評価し直すのが理想ですが、全国の膨大な土地・家屋を毎年評価するのは事務的に難しいため、3年に一度にまとめて見直す仕組みになっています。
1-2. 令和9年度の価格は「2026年1月1日」の地価で決まる
土地の評価替えでは、基準年度の前年の1月1日が価格調査基準日(評価の基礎となる地価を把握する日)とされます。令和9年度の評価替えでは、2026年1月1日時点の地価が基礎になります。
宅地の評価額は、地価公示価格等の7割程度を目途に決められています(平成6年度評価替え以降の取扱い)。つまり、2026年の地価公示(2026年1月1日時点)が上がっている地域では、令和9年度の評価額も上がる可能性が高いということです。足元の地価の動きは、「基準地価1.0%と地価公示2.1%を比べれば地価の動きが分かる?2026年地価調査の読み方を不動産鑑定士が解説」で整理しています。
なお、価格調査基準日から半年間(2026年7月1日まで)に地価が下落した地域では、評価額を下方修正できる措置があります。上昇した場合に上方修正する仕組みはありません。
1-3. 家屋は再建築費と経過年数で見直される
家屋は「再建築価格方式」で評価します。同じ家屋をいま新築したらいくらかかるかを求め(再建築費評点数)、建築後の年数に応じた減価(経年減点補正率)を掛ける方法です。評価替えでは、建築物価の変動を反映する再建築費評点補正率も見直されます。令和6年度は木造1.11、非木造1.07でした。
ここで押さえておきたいのは、既存の家屋は、再評価した額が前年度の価格を超える場合、前年度の価格に据え置かれるという点です(固定資産評価基準)。建築費が高騰しても、建築後の年数が経った家屋の評価額は、原則として上がりません。
第2章:評価替えで固定資産税はどう変わるか
2-1. 土地は負担調整措置で段階的に上がる
土地の税額は、評価額そのものではなく、課税標準額(税額の計算の基礎となる額)に税率を掛けて求めます。課税標準額は、前年度の課税標準額と今年度の評価額の比率(負担水準)に応じて、次のように決まります。
| 区分 | 負担水準 | 今年度の課税標準額 |
|---|---|---|
| 住宅用地 | 100%未満 | 前年度課税標準額+本則課税標準額×5% |
| 住宅用地 | 100%以上 | 本則課税標準額(評価額×1/6等) |
| 商業地等 | 60%以上70%以下 | 前年度課税標準額に据置 |
| 商業地等 | 70%超 | 評価額の70% |
商業地等で負担水準が60%未満の場合は、前年度の課税標準額に評価額の5%を加えた額になります。住宅用地は、200㎡までの部分(小規模住宅用地)が評価額の6分の1、それを超える部分が3分の1に軽減されます(地方税法第349条の3の2)。
この負担調整措置の現行の枠組みは、令和6年度税制改正で令和6年度から令和8年度までの3年間継続とされました。令和9年度以降の扱いは、2026年12月にとりまとめられる令和9年度税制改正大綱で決まる見込みで、本記事の執筆時点(2026年10月)では未定です。
2-2. 想定されるケースで税額を試算する
具体的な数値で考えてみましょう。数値は考え方を示すための想定です。税率は固定資産税の標準税率1.4%(地方税法第350条)とし、都市計画税は省略します。
ケース1:自宅の土地(小規模住宅用地・180㎡)
- 令和9年度の評価額:6,000万円 → 本則課税標準額は1,000万円(1/6)
- 令和8年度の課税標準額:900万円 → 負担水準は90%
- 令和9年度の課税標準額:900万円+1,000万円×5%=950万円
- 税額:約12.6万円 → 約13.3万円(約7千円増)
ケース2:駐車場として貸している土地(商業地等)
- 令和6年度の評価額1億円 → 令和9年度に1億1,500万円(15%上昇)
- 令和8年度の課税標準額:7,000万円 → 負担水準は約60.9%
- 60%以上70%以下のため、課税標準額は7,000万円に据置
- 税額:98万円のまま
評価額が15%上がっても、ケース2では税額は変わらず、ケース1でも約5%の上昇にとどまります。ただし、負担水準が低い土地や、評価額の上昇が大きい土地では、据置年度も含めて毎年じわじわと税額が上がっていきます。「評価替えの年だけ上がる」わけではない点に注意が必要です。
2-3. 評価額は他の税金にも波及する
固定資産税評価額は、固定資産税・都市計画税だけでなく、不動産取得税や登記の際の登録免許税の計算の基礎にもなります。相続した不動産の名義変更や、親族間の売買・贈与を予定している方は、評価額の上昇が手続きの費用にも影響する点を押さえておきましょう。
第3章:評価替えの年に所有者が確認すべきこと
3-1. 評価替えの年が「不服申立て」の好機である理由
評価額に不服がある場合は、固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることができます。期間は、価格等を登録した旨の公示の日から、納税通知書の交付を受けた日後3か月を経過する日までです(地方税法第432条第1項)。
重要なのは、据置年度には原則として基準年度の価格について審査を申し出られないことです。地目の変換や家屋の増改築などで価格が変わった場合を除き、令和9年度を逃すと、次の機会は令和12年度になります。
令和9年度の主なスケジュールは次のとおりです。
| 時期 | 手続き | 所有者がすること |
|---|---|---|
| 2027年4月1日〜 | 縦覧・閲覧の開始 | 近隣の土地・家屋の評価額と比較 |
| 4〜6月頃 | 納税通知書の送付 | 評価額と課税明細書を確認 |
| 通知書交付後3か月以内 | 審査申出の期限 | 根拠資料をそろえて申し出る |
縦覧(同じ市区町村内の他の土地・家屋の評価額を確認できる制度)の期間は、4月1日から、4月20日または最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までとされています(地方税法第416条)。
3-2. 課税明細書で見ておきたい4つの点
納税通知書と一緒に届く課税明細書では、次の点を確認します。
- 地積・床面積:登記簿や実測と一致しているか
- 地目・用途:実際の利用状況(住宅用地か、商業地等か)と合っているか
- 住宅用地の特例:住宅が建っているのに特例が適用されていない、またはその逆はないか
- 評価額の推移:周辺の地価の動きと比べて、上がり方が不自然でないか
特に、不整形地、がけ地を含む土地、高圧線下の土地、間口の狭い土地などは、個別の事情が評価に反映されていないことがあります。家屋についても、取り壊した附属屋が課税されたままになっていないか、増改築や用途変更が正しく反映されているかを確認しましょう。こうした事実関係の誤りは、審査申出を待たずに資産税担当課へ問い合わせることで訂正されることもあります。評価額の決まり方と、評価が実態とずれやすい典型例は、「固定資産税評価額に不服申し立てはできる?審査申出の手続きと鑑定評価の活用法」で詳しく解説しています。
3-3. 鑑定評価が役立つ場面と準備の進め方
審査申出では、「高すぎると思う」という感覚だけでは主張が通りません。固定資産評価基準に照らして評価のどこが不適切か、あるいは評価額が客観的な時価(適正な時価)を上回っているかを、資料で示す必要があります。ここで私たち鑑定士の鑑定評価書が、時価を立証する資料として役立ちます。
審査申出の期間は3か月しかありません。納税通知書が届いてから鑑定士を探していては間に合わないおそれがあるため、2026年の地価公示や基準地価、2027年1月1日時点の状況を見ながら、早めに相談先を決めておくことをおすすめします。まずは価格等調査報告書(目的・範囲を限定した価格調査)で時価の目安を把握し、乖離が大きい場合に鑑定評価書へ進む、という段階的な進め方も可能です。
費用の目安は、正式な鑑定評価書が30万円〜(マンション1室・借地権・底地・収益物件などは40万円〜)、金額の目安を知るための価格等調査報告書が15万円〜、相手方資料の検証(セカンドオピニオン)が5万円〜です(いずれも税別)。詳しくは料金のご案内をご覧ください。
まとめ
2027年度の固定資産税の評価替えは、税額が一気に上がる年ではなく、今後3年間の評価額が決まり、それに不服を申し出られる年です。
要点を振り返ります。
- 固定資産税評価額は3年に一度見直され、令和9年度は2026年1月1日時点の地価が基礎になる
- 既存の家屋は、再評価額が前年度の価格を超える場合は前年度の価格に据え置かれる
- 土地は負担調整措置により段階的に上がるため、評価額の上昇がそのまま税額に表れるわけではない
- 負担調整措置の令和9年度以降の扱いは、2026年12月の税制改正大綱で決まる見込み
- 据置年度は原則として審査を申し出られないため、令和9年度の納税通知書交付後3か月以内が重要な機会になる
不整形地や老朽化した建物を所有する個人の方、駐車場や事業用地など多くの不動産を保有する法人のご担当者様は、2027年春の納税通知書を待たずに、評価額と時価のずれを確認しておくことをおすすめします。税額や還付の手続きについては、税理士にもご確認ください。
固定資産税の評価額に違和感がある方、評価替えに備えて時価を把握しておきたい方は、ぜひ一度ご相談ください。初回の無料相談も承っております。





